現実の壁と衝撃的なニュース
スモールビジネスを始めるとき、特にテナント探しの段階では、成功のイメージしか湧かないものです。理想の店舗を思い描き、準備を進めている間は、期待と希望に満ちています。しかし、ご多分に漏れず、いざオープンしてみると現実の厳しさに直面することになります。
隠れ家的な立地が売りではありましたが、その反面「場所が分かりにくい」という致命的な弱点がありました。結果、オープン直後から売り上げが立たず、来店ゼロの「ノーゲス」と呼ばれる日が続きました。その間、ウーバーイーツの配達をして、なんとか食費を稼ぐ生活に。
そんな厳しい日々の中、オープンから1週間が経った頃、衝撃的なニュースが飛び込んできました。最初に内見し、タッチの差で契約を逃したあの好立地の物件――そこに同業の大麻ショップがオープンしたのです。しかも、その店舗を運営しているのはすでに複数店舗を展開している大手の競合でした。
まさに「ぐったりする」ニュースでしたが、嘆いても仕方がありません。目の前の現実を受け入れ、その中で戦うしかないと腹を括りました。
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師匠との出会い
そんな混迷の時期に「師匠」と呼べる人物と出会いました。その人物こそ、ちる。じょんいる将軍。当時はX(旧Twitter)でそこそこの影響力を持つ業者で、歌舞伎町を拠点に活動していました。興味本位で連絡を取ると、快く会ってくれることになり、歌舞伎町へ向かいました。
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彼は「トーキョーネオヒッピー」を標榜する今どきのイケてる若者で、私のようなおじさんにはまぶしい存在でした。描写が完全におじさんっぽいですね(笑)。そんな将軍が、リキッドの作り方を丁寧に教えてくれました。当時の我々は、カンナビノイドについてあまりにも無知で、販売していた商品も正直言って不十分なクオリティでした。
さらに将軍から商品を卸してもらい、「南国テポドン」という名前のリキッドが店頭に並ぶようになりました。日に1名や2名といったわずかな来店数ではありましたが、少しずつ売り上げが立つようになってきました。
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試行錯誤の日々
とはいえ、状況はまだ厳しいままでした。徒歩圏内に競合の店舗がある上、客足がなかなか伸びない現実に直面し、私は毎日頭を抱えていました。Twitterを活用してなんとかバズらせようと試行錯誤を繰り返し、リキッドスタンドや店舗装飾などをDIYで工夫しながら奮闘する日々でした。
オープンから2週間が経ち、9月に入りました。しかし、相変わらず客足は伸びず、メンタル的にもかなり追い詰められていました。「出店のタイミングや場所選びが間違っていたのか?」と悩み、途方に暮れていたのです。
このとき、まさかここから怒涛の勢いで売り上げが伸びるとは、夢にも思いませんでした。どん底にいた我々の奮闘と転機については、次回お話しします。
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