創業のきっかけ

2022年7月。コロナ禍の影響で櫻井家は経営危機のどん底に陥っていました。夜な夜な小池百合子氏や政府のコロナ対応に対する怒りをぶつける日々。しかし、そんなことをしても状況は好転せず、8月末にはついに従業員への給料も支払えない、詰む寸前の状況に。 そんなある日、一緒に暮らす3つ下の息子、さったん(通称:10年ニキ)がふと口を開きました。 「お父ちゃん、THC-Oって知ってる?」 「何それ?」 「最近流行ってる合法の大麻らしいよ。ちょっと前にHHCってのが話題になったけど、それが規制されて、次にこれが来てるっぽい。」 「へぇ、合法ハーブみたいなもんか…。面白そうだな。いっちょやってみるか!」 その瞬間が、櫻井家の新ビジネス「グッチル(Good Chill)」の始まりでした。興味本位で調査を始め、さったんと二人で妻にプレゼンを敢行。なんとか開業資金として70万円を捻出してもらい、櫻井家の挑戦がスタートしました。

テナント探しと仕入れの始まり

事業を始めるにあたり、まずは店舗となるテナント探しと仕入れ先の確保が最優先でした。藤沢駅周辺で物件を探していると、南口にちょうど良さそうな立地のテナントを発見。すぐに問い合わせを入れ、内見に向かいました。 そのテナントは南口から徒歩3分ほど、商業ビルの1階という絶好の立地。奥まった雰囲気もあり、隠れ家的な店舗にぴったり。ただし、少し狭いのと、初期費用が予算を大幅にオーバーしている点が難点でした。他にもいくつか物件を見て回りましたが、条件に合うものは見つからず、多少の予算超過は後からなんとかしようと決断し、申し込みを入れることに。 しかし、申し込み直前にタッチの差で別の人に契約されてしまいました。これはさすがに困りましたが、方向転換し、「最悪マンションの一室でもいい」と割り切り、再度探し直すことに。 最終的に、現在の店舗となる「めちゃくちゃ分かりにくい場所」の物件を発見。家賃も安く、初期費用は約35万円と予算内で済み、結果的には良い選択でした。テナントの審査には約1週間かかるため、その間に商品を準備することにしました。

仕入れまでの道のり

まずはTHC-Oについてネットで徹底的に調査し、法的な問題点も確認しました。そして、卸売業者を探すためにテレグラムを活用。初心者の質問にも丁寧に対応してくれる、対面取引可能な業者を探し出しました。運よく茨城県の業者とアポイントが取れ、さったんと二人で深夜に車を走らせました。 茨城での取引では、10万円分のTHC-Oを仕入れ、テルペンと混ぜる方法を教わりました。その後、Amazonでアトマイザーや必要な器具を揃え、テルペンも入手。これで販売準備はほぼ整いました。こういった小さな商売ではスピードが命。さったんの提案から、ここまでわずか5日ほどで到達しました。

テナントの準備と仮営業の開始

審査が無事に終わり、鍵を受け取った後は店舗の改装に着手。ただし、借りたのは居住用の普通の2LDK。これを店舗として使えるよう改装しなければなりません。幸い、櫻井家はDIYが得意。OSB板(塗装不要のコンパネ)を多用し、低予算で改装を進めました。 並行してTwitterアカウントを開設し、鍵を受け取った翌日から仮営業を開始しました。内装工事の途中でも、リキッドを販売するだけなら特に問題ありません。最小限の形でスタートし、とにかく売り上げを作ることに専念しました。

資金が尽きる中での挑戦

内装資材には約20万円を費やし、テナント費用35万円、初回仕入れ10万円と合わせると、手持ちの現金はすべて消えました。資金が尽きた以上、売り上げを立てるしか道はありません。櫻井家の挑戦は、ここから本番を迎えたのです。


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