アメリカや欧州などの大麻先進国で注目されているCBD。一方日本では、CBDと麻(カンナビス)、麻薬、CBD、医療大麻などの区別がついていないのが実情です。今回は、現在のCBD業界を知るためにヨーロッパを中心とした世界のカンナビス黎明期から、アメリカにわたって家用用大麻から娯楽用大麻に代わったカンナビス市場の成長期を説明します。

ブログ:CBDの世界 ~ヨーロッパの歴史~


2. アメリカ史

20世紀初頭のアメリカでは、カンナビスを娯楽用として使用する人々はごくわずかだったものの、禁酒法が1920年に施行されるとカンナビスの娯楽用消費は増えていきます。

そして 1933 年に禁酒法が撤廃されると、当時の経済や移民問題を背景とする中、カンナビスと特に暴力事件を結びつけようとする報道がされるようになります。こうしたなか、政府はカンナビスを禁止するためにカンナビスの栽培・使用に対し重税を課す「マリファナ税法」が 1937 年に制定されます。

1970 年には「包括的薬物乱用防止及び規制法」の施行により、カンナビスはヘロインや LSD と同様 にスケジュール Iに加えられ、医療目的での使用が禁止されました。

1972年、「保健省、教育福祉省の包括的研究に基づく報告書では、カンナビスをスケジューリングシステムから排除し、犯罪ではないという扱いにするように勧告しましたが、当時のニクソン大統領は、勧告を受け入れませんでした。

1964年にテトラヒドロカンナビノール(THC)の科学的構造がつきとめられたことにより、1970-1990年頃に渡りカンナビノイドの薬理学的研究が徹底的に行われました。

1976年の法廷闘争で、カンナビスを使用した合法な医療カンナビス患者としては初めての裁判例が生まれました。原告のロバート・ランドールは、政府に対して「医療上の必要性からカンナビスを使用していた」する訴訟を起こし、連邦裁判官は「使用は合法である」と判決をくだしました。

1978年、この訴訟の直接の結果として、国立薬物乱用研究所(NIDA)は、医師が治験新薬申請(IND)規則に基づいて、適切な使用をする権利を申請し、取得した複数の患者にカンナビスを処方し始めました。

そして、1992年には最初のエンドカンナビノイドが発見され、今日ではエンドカンナビノイドが私たちの体の恒常性を保つため、重要な働きをしていることが分かっています。

1930 年代にはアメリカの全ての州でカンナビスの使用が違法になりました。しかし、新しい研究により緑内障の治療に応用できる可能性が見出され、1960年代から 1970年代にかけて再びカンナビスの活用が増えます。

こうしたなか、1990 年代初期には エイズ患者の吐き気や食欲改善の処置として、限定的なカンナビスの使用を認める特別プログラム の適応例も急激に増えますが、1992 年に米国保健福祉省がこれを停止します。しかし、1996 年にはカリフォルニア州とアリゾナ州が連邦政府の法令に反する形で、 医療目的のカンナビスの使用を州として合法化しました。

近年では、CBD および他のカンナビノイドの有益性を指摘する研究・報道が増えてきています。例えば、サンジェイ・グプタ医師のような医療専門家が主要なメディアで CBD についてドキュメンタリープロジェクトとして取り上げたりするなか、米国ではカンナビスについて人々の意識が大きく変わってきています。 そして今や、アメリカ国内、インターネット、ドラッグストアで CBD 製品を買うことができます。

■まとめ
ヨーロッパからアメリカに伝わったカンナビスは、娯楽用の大麻になったり、医療用大麻になったり、時代に合わせて柔軟に形を変えて生活に浸透していきました。現在のアメリカでは、CBDに対しての理解も深まり、もっともCBDに理解がある国の一つになりました。次回は、日本のカンナビスとの付き合い方の歴史を紹介します。

ブログ:CBDの世界 ~日本の歴史~

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