本記事のトピックである「delta9THC」「delta8THC」「delta10THC」は、日本国内において規制されているカンナビノイドですが、本記事は記録及びユーザーの参考資料として掲載しております。

■delta9THC(デルタ9THC)とは何か
カンナビノイドについて調べていると、THCに「Δ(⊿、δ、デルタ)」がついた「Δ9THC」という言葉が出てきて「これは何だろう」「THCとは違う成分なの?」と疑問に思ったことがある方も多いのではないでしょうか。Δ9THC(delta/デルタ ナイン テトラヒドロカンナビノール)は「デルタナインTHC」と読み、一般的にTHCとして知られる「テトラヒドロカンナビノール」のことを表しています。Δ9THC(=THC)は大麻草に含まれるカンナビノイドの中で最もメジャーな成分ですが、レクリエーション要素を持っているため、ほとんどの国でΔ9THCに対して規制がかけられています。アメリカでは、2018年に農業法によってヘンプ(産業用大麻)が全米で解禁されました。Δ9THC含有量が0.3%未満の品種が「ヘンプ」として規制の対象から外され、CBD商品や衣服、食用、化粧品などに利用できるようになったのです。一方で、Δ9THCが0.3%以上の品種については「大麻草」「マリファナ」と呼ばれ、規制がかけられています。本来は全て同じ大麻草(学名:カンナビス・サティバ)というアサ科アサ属の植物なのですが、Δ9THCの含有量によって呼び名が変わり、規制の対象にもなり得るのです。日本では、現状は大麻草の使用部位によって規制されているため、ヘンプか大麻草かは問わず、「成熟した茎及びその製品(樹脂を除く)と、種子及びその製品以外」はすべて取り締まりの対象となっています。また、THCはΔ9に限らず規制されており、検出レベル以下でなければなりません。2023年12月6日に成立した改正大麻取締法では、大麻草の部位による規制から成分に着目した規制への見直しや、CBDをはじめとするカンナビノイド製品に残留するTHCの残留限度値を設けることなどが明記され、賛否両論ありながらも大きな一歩となりました。

■delta8THC(デルタ8THC)とは何か
近年になって、Δ9THCだけでなく、「Δ8THC」や「Δ10THC」という成分も耳にするようになったかもしれません。Δ8THC(delta/デルタエイトテトラヒドロカンナビノール)は、「デルタエイトTHC」と読みます。Δ8THCの歴史は意外に古く、ロジャー・アダムスとイリノイ大学の研究チームが1941年にΔ8THCの部分合成を初めて報告したと言われています。ラファエル・メコーラム博士らが全合成に成功したのは1966年でした。Δ8THCはΔ9THCと同様、大麻草に含まれるカンナビノイドですが、その抽出量は大きく異なり、Δ8THCはレアカンナビノイドの一種となっています。Δ8THCは、Δ9THCの異性体のカンナビノイドです。異性体とは、同じ数と同じ種類の原子を持っているが、違う構造をしている物質のことです。また、Δ8THCはΔ9THCのようなレクリエーション要素を持っています。前述したアメリカの農業法でヘンプに含まれるΔ9THCの制限値が設定されたことから、「ヘンプからとれて、制限のないTHC」ということでΔ8THCに注目が集まり、人気に火が付いたというわけです。Δ8THCのレクリエーション要素はΔ9THCよりは弱く、Δ9THCの約50〜75%と考えられています。一方で、Δ9THCより安定性が高く、酸化に強いとも言われます。Δ8THCについての研究はまだ広く行われていないため、不明な部分が多いカンナビノイドのひとつですが、マリファナとヘンプの両方の市場でΔ8THC製品は増加しているようです。

■delta10THC(デルタ10THC)とは何か
Δ10THC(delta/デルタ テン テトラヒドロカンナビノール)は、「デルタテンTHC」と読みます。Δ8THCと同様に、Δ9THCの異性体のレアカンナビノイドであり、ヘンプからとれて制限がないTHCということで注目されることになりました。Δ10THCはΔ8THCと比べても不明な部分が多いカンナビノイドですが、実はユニークな発見エピソードを持っています。Δ10THCは、カリフォルニアの大麻会社によって偶然に発見されました。山火事の影響により難燃剤で汚染された大麻を知らずに抽出・蒸留して得られた結晶がΔ10THCだったと言われています。もちろん、現在海外市場で出回るΔ10THCは、汚染された大麻から抽出されてはいません。Δ8THCとΔ10THCは、Δ9THCと比較してレクリエーション要素がマイルドだと言われていますが、Δ8THCとΔ10THCを比較した場合では、Δ10THCの方がΔ8THCよりも若干レクリエーション要素が低いようです。レクリエーション要素の高低だけでなく、摂取した際の感覚も少しずつ異なるため、新しいバージョンが出るとユーザーの注目が集まるのはどのカンナビノイドにも言えることでしょう。

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