──革命の狼煙は、この街の路地裏から上がった


満を持して立ち上げた「GRAY」ブランド。
この名は、ただのブランドではない。
自身の生き様を背負い、魂を刻んだ看板だった。

今月、喪失と悲しみを乗り越えてGRAY CANNABISは再始動します。
誰よりも彼を知る関係者たちとGOODCHILL & CHILLAXYがタッグを組み、
GRAYブランドの持つ理念・品質・そして体験を正しく継承していきます。
ブランド再始動を記念し、
彼が歩んできた軌跡をたどる追悼コンテンツ:
「GRAY STORY」を3週連続でお届けします。


タイ・バンコク。
2022年、アジアで初めて大麻の非犯罪化が達成される。
タイ最大の国際会議場で華々しく開かれる、アジア初の大麻産業の展示会。
グリーンラッシュに湧く会場の一角に、日本のカンナビノイドシーンを代表して彼のロゴが輝いていた。

GRAY CANNABISは同年、このAsia International Hemp Expoに初出展を果たす。
日本においてもHHCに端を発する合成カンナビノイドブームが始まった年。
彼とGRAYブランドにとっても、まさに飛躍の一年となった。

当時THCの代替成分として一躍注目を浴びたHHCをGRAYブランドでも真っ先に投入。
規制後もTHCOやTHCHといった当時の最新成分をいち早く商品化し、サイコアクティブ領域に強いブランドイメージを築き上げていく。
前年に誕生したばかりのブランドは、爆発的な勢いで成長を続けた。

そんな頃、ケビンもまた岐路に立たされていた。
仕事を失い、生活に困窮していた幼馴染に、彼は迷うことなく手を差し伸べた。
子どもの頃、自分のすべてを受け入れてくれたただ一人の存在。
その恩に報いるように、彼はケビンをGRAY便の一員として迎え入れる。


GRAYブランドはその草創期から、ライブイベントやタトゥーといったカルチャーシーンへの協賛を積極的に行った。
時には自らのオフィスを開放し、ユーザーやファンを招いたオフ会を開催することもあった。
ただ自身の名を冠した製品を世の中に届けるだけでは終わらない。
そこにカルチャーが息づき、多様な人々が交わる居場所をつくる。
彼が目指していたのは、世界を旅する中で見てきたそんな解放区をこの国に作り出すことだった。
これまで六本木や池袋にオフィスやスタジオを構えてきた彼は、
その夢を実現させるためのさらなる新天地を求めて動き出す。


2023年。
東京・渋谷。
古くから若者を中心に栄えたこの街は今や東京を代表し、世界的な知名度を誇るエリアへと変貌を遂げ、
世界中から訪れる人々が行き交うスクランブル交差点の上空では100年に一度と言われる再開発が進行する。
まるで生き物のように絶えず進化を続ける、そんな都市のダイナミズムが息づく眠らない街。
その喧騒から一歩離れたところに、道玄坂と呼ばれるエリアがある。
繁華街と歓楽街が入り混ざり、裏路地の先には円山町のクラブ街やホテル街が広がる。
渋谷の中でもとりわけ自由で、解放区のようなエネルギッシュな空気が満ちた道玄坂。
その一角に、彼が満を持してオープンするショップおよびスタジオが誕生した。


外壁を飾るのは南半球最大の大麻の祭典と称されるイベント「MardiGrass」のポスターに、
日本人として初めて起用されたグラフィティアーティスト・SH11NA氏によるアートワーク。
そして店内に入ると、ソファーの置かれたシックで居心地の良い内装と彼の飾り気のない笑顔が出迎える。
「渋谷GRAY」は、一躍この街の新たなランドマークとなった。
(写真提供:SH11NA様@SH11NA_WORKS)


GRAYブランドのカンナビノイド製品や彼の手がけるタトゥーを求めて国内外から多くの人が集い、居合わせたもの同士が気がつけば談笑している。
カンナビノイドが心をほどき、国籍や属性を超えて人と人とが自然に繋がる。
そこはまるで都会の谷間に誕生した現代の溜まり場のような空間だったと当時の常連客は語る。
最新成分名とフレーバーのみを配したシンプルかつスタイリッシュなパッケージのGRAY製品は、
ユーザーにとっても明快な選択肢として合法市場の裾野を広げることにも大きく貢献した。
カンナビノイドとタトゥーの両輪で止まるところを知らない成長を続けたGRAYブランド。
多忙な日々の中でも彼は可能な限り店頭に立ち続け、顧客とのコミュニケーションを欠かさなかった。

GRAYブランドはそのラインナップの豊富さとともに、当時日本国内で合法だったLSD類似成分の取り扱いでも知られた。
今や日本でも有名大学や大手製薬企業が研究に着手し、NHKなどのメディアにも取り上げられ、
かつてのイメージを覆し精神疾患やトラウマへの治療効果が注目されるようになった幻覚剤。
彼がその取り扱いに拘り続けたのは、人の心を癒すその力を誰よりも先に彼自身が知っていたからなのかもしれない。
物静かで穏やかな彼が時折露わにした、この国の薬物政策への憤り。
彼が常に訴え続けたのは、それによって救われている人々が確かに存在することだった。


変化の激しいカンナビノイド市場の中で唯一無二の世界観で人々を魅了し、
孤高の存在となっていくGRAYブランド。
その旗艦店である渋谷GRAYはやがて、
日本最大級のカンナビノイド販売店として君臨することになる。
それは単なるビジネスの成功を意味するだけではなかった。
一人の若者が世界を旅して見た夢が、
この街で確かに現実へとなり始めた瞬間だった。

──GRAY STORY #3に続く

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